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スッカリ肌寒くなって来ました。皆さんお元気ですか?
僕は仕事の合間にせっせと薔薇の世話をしたりしています。
先日のこと、友人と京成バラ園を歩いて来ました。
その日は秋の「おはようローズガーデン」開催日で、
満開の薔薇を見に、三々五々、各地から友人が大集合(笑)

そんな中、久し振りに素晴らしい薔薇に出逢いました。
今日の写真の薔薇、「バラの家」の木村卓功さんが作出したオリジナルの薔薇です。
ピンクのその薔薇は驚くことにグリーン・アイを持っています。
ピンクと言っても単色ではなく、花弁の裏や先端に濃淡が表れ、
ビッシリ密に花弁が詰まった花に陰影を与えています。
その場にいた友人、マダム達は一目でこの薔薇にノックアウト(笑)
さっきまでは食べた朝食の量が少ないだの腹が減っただの、
あれだったら3人前は食べられる……と、こぼしていたクセに、
美しい薔薇を見た途端に可憐な少女にタイムスリップする早業、
一瞬で乙女に変身する奥義にはビックリ(笑)
数々の美しい薔薇を見慣れているマダム達を唸らせた薔薇……。
しかし、愛らしいその薔薇はまだ名前がないとのことです。
さらに驚くことには、発売すら躊躇しているとか……。

何で?何で?何で!?そんなバカなことありませんよねぇ。
こんなに可愛らしくて優雅で気品があって……。
褒め言葉が幾つあっても足りないこの薔薇。
何と発売を躊躇しているとは!
木村卓功さんことキムタクてんちょに理由を聞いたところ、

 「香りがないから……。」……って。

そんな事はありません!決して強香ではないけれど、
清潔で甘い薔薇の匂いがします。この薔薇が持つ表情にピッタリの清々しい匂い。
例えてみれば、社交界にデビューする前の少女のような……。
意中の青年にダンスを申し込まれ、俯き、恥ずかし気に頬を染める少女……。
よく少女から美しい女性に成長する様を「薔薇の蕾が綻ぶよう」って言いますよね。
正にその瞬間が薔薇の花になったかのようです。
久し振りに唯一無二の個性的な令嬢にお目に掛かりました。

何も薔薇の全てに濃厚な匂いがなければならない訳ではありません。
全ての女性が強い香水を身に纏わなくてもいい。
洗いたてのリネンや石鹸の清々しい匂いの令嬢もいるのです。
その薔薇、その薔薇に相応しい匂い……それでいいのだと思います。

美しい薔薇はこの世の中にゴマンとありますが、
僕の持論では、究極の美を持った薔薇は必ずグリーン・アイを持っています。
そう「Mme. Hardy」のように……つまり!

 「もう子孫は作りません。私が完成形なの!」

と、言うことだと思うのです。宣言しちゃっています(笑)
さっきまで、「もう置くところがない。」と、こぼしていたマダム達。
舌の根も乾かぬうちに、パッと顔を輝かせ、

 「イヤァ〜ン、可愛い!あたし1本!」
 
 「名前は?名前は?わたしも1本!」

だそうです(笑)どんな名前が付くのかな?
この年になるとあまり物事には動じないし感動も薄くなって来ている僕ですが、
勿論、僕も1本お迎えしようと思っています。
世界の巨大ナーサリーが毎年、作り出す素晴らしい薔薇の数々。
だけど、それに勝るとも劣らない日本人が作った日本の薔薇。
日本人ならではの感性と美意識で選抜された薔薇……。
さぁさぁ、キムタクてんちょ!どうします?
人気沸騰は間違いなしですよ!新社屋が建つかもよン!(笑)


バラって最高! by 木村卓功。


29. 10. 2010


Benoit。


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by souslarose | 2010-10-29 00:00 | Raindrops on Roses | Comments(44)
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今を遡ること 14年前。
僕は青山の骨董通りにあるデザイン事務所に勤めていました。
初めて就職した事務所が不景気のあおりを喰って廃業。
(地元の名士だった社長が倒産だけは避けたがった……。)
次に就職した会社です。面接で即採用、お祝いに自分で自分にプレゼント。
中島誠之助さんの店で染め付けのお皿を買ったのが懐かしいです。
さて、その事務所、何と9ヶ月で辞めてしまいました(笑)
人と上手く付き合う才能があって(多分)我慢強い僕(おそらく)にしては異例。
理由は、そこの社長がイヤでイヤで……いい人だったんですけどね。
その9ヶ月間に、自分の足で歩き青山の色々な店を開拓しました。
レストラン、カフェ、勿論、骨董屋、いいものを扱うブティック……。
そんな中、もっとも感動して今でもお付き合いして貰っているのが、
深野俊幸さん主催の南青山のカントリーハーベストです。

忘れもしない1996年6月13日。
珍しく仕事を早めに終わった僕は、青山キラー通りにある美容室に友達を尋ねました。
そこに勤める知り合いの女性に誕生日の花束を届けるために……。
道すがら、何をプレゼントしようか迷って歩いていると、
246を1本入った裏道に素敵な花屋を発見!
匂うんですよねぇ……いい店は何やら素晴らしい匂いが(笑)
その時は、当時、深野さんと一緒に店を切り盛りしていた女性Oさんがいらして、
僕の一風変わったリクエストに応えて下さいました。

 「野原の小径で摘んだような花束にして下さい。」

そこから僕とカントリーハーベストのお付き合いが始まりました。
男たるもの、いい花屋を一つは知らないといけません。
折々に花束を贈る、自分のために花を買う……日本の男性に多いに欠如している部分。
恋人の誕生祝いに、友人の記念日に、母の入院のお見舞いに、
そして、大好きな女優さんや俳優くんの楽屋見舞いに……。
カントリーハーベストは平々凡々な僕の株をどれだけ上げてくれたか。
そして、毎回、頼む僕が驚かされる斬新なアレンジ。
奇を衒うのではなくて、植物を知り尽くした上でのオリジナリティです。

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さて、先日、幸運にもソフィア・ローレンに花束をお渡ししたことは書きました。
急に思い立ったんですよ、日本のファンの皆さんからって言うことで、
ソフィア・ローレンに花束を渡して貰おうって
(ヒョンなことから自分がその大役を仰せつかりましたが……。)
勿論、迷うことなく花束はカントリーハーベストです。
当日、伺うと幸運にも深野さんがお店にいらっしゃいました。
用件は既にご存知で、確認を少しした後に作って下さったのが写真の豪華な花束です。

ソフィア・ローレンにはどんな花が似合うでしょう?
店には向日葵もありましたが(笑)ここで向日葵を使ったら一生バカにされます(爆)
さてさて、どうしたものか……深野さんには既にイメージがあったようです。
紫陽花と大きなダリアを中心に、そこに薔薇の「Yves Piaget」が入ります。
たった3種類の花、シンプルだけれど思い切り印象的で豪華です。
僕は深野さんが作った花は大好きですが、花の好みが全く同じと言う訳ではありません。
実はこの時も、紫陽花、ダリアまでは何となく予想がついたんですけど、
そこに「薔薇?」チョッと意外な気がしました。
別に僕が薔薇が好きだからって言うこともないんでしょうけど、
小さな花弁と同じ渋めの色味を持つダリアと紫陽花に、
全く違うテクスチャーを持つ薔薇を入れる……目からウロコが落ちました。
深野さんが凄いところは、これらの花を混ぜないんですね。
普通は種類の違う花々を均等に混ぜたくなるものなんですが……。
深野さんは大きな纏まりでスパイラルを作って行く。
薔薇を中心に、周りをダリア。そして、その外側に紫陽花……。
このごくごく自然な無造作感!空気感って言うのかなぁ……凄いです。

驚くことに、その薔薇を入れた事によって、
何も匂わなかった花束が「匂いのいい花束。」になったことなんです。
花束を見たイタリア文化会館の皆さんは驚きを口にします。
そして、必ず顔を輝かせて「凄くいい匂い!」と。
美しい花、花束を見た人は、次に必ず匂いを期待します。
たった5輪の「Yves Piaget」が強烈な匂いで辺りを包み込みます。

2007年の「国際バラとガーデニングショウ」を覚えていらっしゃる方も多いと思います。
深野さんのカントリーハーベストがメインのテーマの庭を作った年です。
僕も長年のお付き合いをさせて貰っている立場からすると本当に鼻が高かったです。
花の洪水、色彩のマジック、他の追随を許さない個性……。

随分前になりますが、お店で聞いた深野さんの言葉が思い出されます。

 「店を始めた頃、御飯を食べるお金を惜しんでも店のために変わった花を一本買った。」

いい花屋の条件は幾つかありますが、その1つが花の品揃えですもんね。
数えきれないほどの草花と花器、素敵なアンティークが店を埋め尽くします。
深野さんの魔法で薔薇の魅力に染まった一日でした。


26. 10. 2010


Benoit。


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by souslarose | 2010-10-26 00:00 | Raindrops on Roses | Comments(8)

匂いと香り……。

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ようやく秋らしい天気が続くようになりました。
「New Roses SPECIAL EDITION for 2011」が好評の内に発売になっています。
今、日本で手に入る人気の薔薇を全て網羅し、
さらに「薔薇の香り」の専門書としても読み応えのある内容になっています。

さて、今日のタイトルの「香りと匂い」……。
お気付きだと思いますが僕は余程のことがない限り「香り」は使いません。
これには僕のこだわりとチョッと天の邪鬼な部分も(笑)
皆さんにもう一つのブログのタイトル「匂いのいい花束。」をお教えすると、
必ず「なぜ香りじゃなくて匂いなの?」と、聞き返されます。
この「匂い」と言う言葉を使う事に関しては何の迷いもありませんでした。
これは、ブログのタイトルを三島由紀夫の傑作戯曲、
「鹿鳴館」の台詞から戴きましたから変更の余地はありませんし、
三島由紀夫のこだわりも感じられて素晴しいと思うからです。

では、なぜ文中に余程の事がない限り「香り」と言う言葉を使わないのか?
改めて辞書を引いてみると……。
「香り」の所には「よいにおい。香気。」とあります。
それから、次に「匂い」を辞書で引いてみると……。
「そのものから漂って来て嗅覚を刺激するもの。」とあります。
文章を書く上で厳密な分け方をしている訳ではありませんが、
「香り」が鼻に感じる心地よい刺激に付いて用いられるのに対し、
「匂い」は、どうやら、善し悪しに関わらず、好ましい、不快など、
鼻で感じる全ての事に対して使われるようです。
それから「香り」はそこはかとなく漂って来るいい匂いに対してのみ使い、
「匂い」と言うと、何やらそれ自体から立ち上って来る匂いのように感じます。
何も今初めて語られる事ではありませんが、この世界のもの全て、
物事には表と裏があり、綺麗なものの陰には汚い実像があり、
美しいものも角度を違えてみれば世にも恐ろしい裏の姿を見せるのです。
物事はその二面性ゆえ美しく輝くのではないでしょうか。

「マクベス」の魔女の台詞「綺麗は汚い、汚いは綺麗」ではありませんが、
物事は、美と醜、明と暗……その二面性ゆえ美しく輝くのだと思うのです。

綺麗な薔薇の匂いは勿論、素晴しいけれど、朽ちた薔薇のすえた匂い。
新鮮な時は勿論だけれど、腐りかけた果物や肉の何とも言われぬそそる匂い。
太陽を一杯に浴びた猫のお腹の匂いと、威嚇する時に出す独特の匂い。
街角ですれ違った見目麗しき人……実は一部の隙もなく美しく化粧を施され、
香水と仕立てのいい服で誤魔化されているかもしれません。
スポーツで真っ黒に日焼けした健康で爽やかな顔とこぼれる白い歯……。
そして、心のどこかで期待する汗の匂い……。

そんな、簡単には割り切れない、そして、見る人、読む人の受け取り方で、
全く違って来る感覚を大事にしよう、どちらにでも取れるようにと思い、
「匂い」と言う言葉を余程の事がない限り心して使うようにしました。
それから、匂いには「嗅ぐ」ではなく「試す」を使いたいです。
「匂いを嗅ぐ」ではなくて「匂いを試す」……よほど優雅だと思いませんか?


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一方のブログにタイトルを拝借した三島由紀夫も好んで「匂い」を使いました。

  サド侯爵夫人ルネ 「薔薇を愛することと、
                薔薇の匂いを愛することと分けられまして?」
  モントルイユ夫人 「莫迦をお言い。それは薔薇が感心にも、 
                薔薇にふさわしい匂いを持っているからだわ」

なんと言う素晴らしい台詞でしょうか。
「サド侯爵夫人」のなかには、金糸銀糸で刺繍された豪奢な衣装のような、
また、幾重にも縫い付けられたビーズやラインストーンのような華麗な台詞が、
天満の夜空を彩るキラ星の如く散りばめられています。
一つ一つ丁寧に刺繍され紡がれた言葉の大伽藍……。
偉大な俳優が朗々と台詞を言うに相応しい宝石のような言葉……。
それらの台詞を言葉で表すとしたら……矢張り「匂いのいい言葉」だと思うのです。
美しいものと醜いもの……三島由紀夫はそんな世の中の綺麗ごとの絡繰り、
皆が絶賛する美しいものが、実は、醜いものの上に被さっている、
皮一枚にしか過ぎないのだと言う事を知っていました。
そんな尊敬する三島由紀夫に敬意を表して「匂い」なのです。


今日の写真は「New Roses SPECIAL EDITION for 2011」と「Bella Donna」。
もう1枚は、先日お目にかけた満開の「Bella Donna」が咲き進み、
朽ち果て散り行く寸前の1枚……この期に及んでまだなお匂うのです。
それは決して「香り」ではなく「匂い」なのです。


22. 10. 2010


Benoit。


※この記事は今までの「匂い」に関する幾つかの記事を纏め、
 加筆修正したものです。

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by souslarose | 2010-10-22 00:00 | Under the Rose | Comments(14)

この上ない贅沢。

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10月中旬のある晴れた日。
休みの僕はコマツガーデンから大事な大事な苗の到着を待っていました。
僕のオリジナルの薔薇ではありません。
随分と前の赤い薔薇……詳しくはもう少ししたら書きますね。

連日の忙しさで疲労困憊……思ったよりも疲れが溜まっているみたい。
日頃のクセで早起きしたものの、薔薇と猫の世話をしてうつらうつら……。

そんな中、かねてから予定していた薔薇の撮影をしました。
僕のオリジナルの薔薇、この5月から発売になった「Bella Donna」です。
考えてみれば、趣味で始めた交配が実を結び、
こうして皆さんに可愛がって貰えるのも奇跡と言えば奇跡ですが、
自分で作った薔薇を積んで花器に入れ、撮影するのはこの上ない幸せ。
なんと言う贅沢でしょう。部屋一杯に広がる素晴らしい匂い。
散る寸前の美しい様、この上ない贅沢……。
育種家冥利に尽きるとはこのことです。

引っ越しのドサクサでお気に入りの花器ではなかったけれど、
スペインの親友と薔薇の弟から貰った布地を下に敷いて……。
午後の柔らかい光が美しい薔薇を引き立たせます。


12. 10. 2010


Benoit。


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by souslarose | 2010-10-12 00:00 | Under the Rose | Comments(20)
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視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚……。
人の五感の中で嗅覚が一番、記憶と密接に繋がっていると思います。
それぞれの感覚も、勿論、埋もれた記憶を喚起し、
僕達を過去に誘ってくれますが、何と言っても嗅覚が、
一番、鮮明に、かつ、広がりを持った記憶の世界に僕達を連れて行ってくれます。

僕は小さい頃から映画が好きで、良く時間を見付けては、
早い時期から映画館の暗闇に身を沈めていました。
スクリーンに映し出される映写機のまばゆい光。
カタカタカタカタ……映写機がまわる音、一筋の光を遮る、
客席から立ちのぼる紫煙の行方(当時は場内で喫煙可能だった!)
都内の高級ロードショウ館、地方の場末の劇場、それぞれの匂い。

映画……それは僕の人生の教科書。
暗闇に身を沈め、幕が上がると一気に僕を未知の世界に連れて行ってくれます。


 冬のニューヨーク。マンホールからもうもうと立ちのぼる蒸気の生暖かい匂い。
 ドライバーは少女を救うために立ち上がります。

 蠟燭の灯りとカード遊びに興じる貴族たちの幾重にも塗り込めた白粉のすえた匂い。
 決闘と女遊びの繰り返し……一人の男の放蕩の人生の末路は……。

 広大な向日葵畑。哀しみに表情をなくした女の頬をウクライナの風が優しくなでる。
 暖かな夕餉の匂い、乳飲み子の匂い、対照的な工場地帯の鉄の匂い……。

 人目を忍ぶ逢瀬は潮と汗の匂いがする。
 日傘を波打ち際から崖の上まで飛ばすアイルランドの風。

 ロック歌手の専用機の中に充満する煙草とドラッグ、バーボンの匂い。
 破滅に向かって絶唱する悲しい女の満たされない人生。


優れた映画は視覚や聴覚だけで訴えるのではなく、
あるハズのない嗅覚で僕等をさらなる未知の世界に連れて行ってくれます。
映画の匂いにまつわる数々の想い出……。
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薔薇ファン待望の「New Roses Special Edition for 2011」が発売になりました。
編集長の玉置一裕さんが、ご親切に今回も、丸々1ページ、
僕の薔薇のために割いて下さいました。テーマは「香り」……。

 「お好きな映画をモチーフに如何ですか?」

お言葉に甘えて、それぞれに匂いのいい、
「Under the Rose Series」4品種の中から「Bella Donna」を選び、
僕なりに書いてみたものが巻頭特集の4つのエピソードの中に掲載されています。

匂いと映画……何だか捉えどころが内容で苦労しましたが、
「自由にページを作って下さい。」と言う玉置さんのお言葉に甘えて、
僕の中で印象深い映画3つを選び、それぞれの主人公の年代に合わせて、
「Bella Donna」の蕾から散る間際までの3枚の写真と、
それぞれの主人公へのオマージュ……のような文章を添え、
花が咲き進むさまを女性の人生になぞらえて……。
デザイナーの家常善光さんに丸投げいたしました(笑)


 南部の大地を駆け抜ける生き生きとしたスカーレット……。

 まさに大輪の薔薇が咲き誇っているような哀しみのソフィー……。

 夢か現か……老いへの恐怖と過去への郷愁に身を委ねるブランチ……。


 「どんな感じにしましょうか?何か希望はありますか?」
 「ン?兎に角、一番素敵なページにして下さいね。」

そして出来上がったのが、巻頭の9ページ目になります。
僕の勝手でいい加減なリクエスト(しかも要求は高い・笑)にめげず、
押しつけ、責任逃れの言いたい放題にも関わらず、
素晴らしいページに纏めて下さった彼の才能に脱帽です。
昨今のグラフィック・デザイナーの仕事は多岐にわたります。
昔は写真や文章をレイアウトするのが主でしたが、
最近は可成りの分野に渡っての知識とテクニックが求められます。
今回の「New Roses Special Edition for 2011」の中で、
家常さんが一番、楽しくかつ自由に創造出来たのが僕のページなのではないか……。
我が儘で勝手な僕はそんな風に思っています(笑)

早速、手に取られて読まれた方も多いと思います。
薔薇の匂いに関してこれほど詳しく、また、読み物として、
専門書としても充実した本が今まであったでしょうか。
これで薔薇の楽しみ方が一層、深いものになりましたね。
秋の夜長、是非、手元に置いてジックリ読んでみたいものです。
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「Bella Donna」…………。

小さな硬い蕾が花開きはじめた直後は典型的な高芯剣弁なのですが、
満開から散り際に向かって雄大な様相を呈します。この薔薇が一番美しいのは、
ラベンダーに退色して花弁に艶がなくなって来るその最後の瞬間……。
スパイシーなブルーの匂いに蜂蜜とレモンの匂いが混ざります。


08. 10. 2010


Benoit。


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by souslarose | 2010-10-08 00:00 | Under the Rose | Comments(20)

匂いの惑い。

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このところ陽射しがスッカリ秋めいて来ました。
秋の清々しい風、薔薇のシーズンに向かって心が弾みます。
我家でもそろそろ秋の薔薇が開花して来ました。
皆さん、夏場の手入れは万全ですか?
思ったように蕾が上がって来ていますか?
秋の薔薇は色や匂いが深く、春とはまた違った趣です。

さて、薔薇と匂い……切っても切れない関係です……特に近年は。
薔薇が美しければ美しいほど期待され、求められる匂い……。
残念ながら、そして悲しいかな、美しい薔薇に
必ずしも陶然とする匂いがある訳ではありません。

フランスのデルバール社は薔薇の匂いを細分化、
香水の様式になぞらえて、トップノート、ミドルノート……。
時間と共に変化する薔薇の匂いを表現しています。
現在、薔薇の匂いは大きく分けて7つあると言われています。
人々は競って薔薇の匂いを美しい言葉に置き換えようとしています。
様々な果物の匂いに始まり、言葉の限りを尽くして……。
その様は、ワインの匂いを表現するのに似ています。
ワインも美しい言葉、いい言葉でその匂いを表現するのが慣しとなっています。
例え、ピッタリの言葉があったとしても、
所謂、マイナス・イメージの言葉は使ってはいけないとされています。

さてさて、薔薇の匂いをどう表現するか……。
ここで残念なのは自分の語彙の少なさ(笑)
例えば、果物の林檎や苺、桃やアプリコットやレモンは兎も角、
ラズベリーやスグリとなると何とも心元ありません(笑)
薔薇によく使われる「ミルラ」の匂い……。
没薬、ミイラを作る時に防腐剤として布に塗り込めた薬の匂い……。
今、現在、それを実際に試してみられる人ってなかなかいませんよね。
ミルラの匂いだと言われる薔薇から逆にミルラの匂いを想像するしかありません。

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随分と昔の事になりますが、
ワイン好きの友人達に誘われて箱根に温泉旅行に行った事があります。
同年代、育った環境も仕事も全く違う女性1人を含む総勢7人。
旅の決まりはそれぞれのお気に入りのワインを2本持参すること……。
宿に着き温泉に入り、さぁ、いよいよワインの宴の始まりです。
皆さん、ワイン・アドバイザーやソムリエの資格を持つ面々です。
高級ワイン、稀少なワインがズラァ〜ッと14本テーブルに並びました。
ここで僕は鳥肌が立つ経験をしたんですよねぇ……(笑)
今でも笑い話で良くするんですが……。

 M「どうですかHさん、このワインは?」
 H「うぅ〜む、駿馬が草原を走り抜ける時の香りがします。」
 M「おぉ〜っ!それは素晴らしい!こっちはですね、
   雨上がりの草むらの大きな石を持ち上げた時の土の匂いがします。」

こんな感じで会話が進んで行きました(笑)
おいおい、君たちそんな匂い知らないでしょう?
ガリ勉タイプの2人とも駿馬が走り去った時の匂いも
石を持ち上げた時の土の匂いも知らないハズなんです(笑)
経験がないことを口にする可笑しさ、滑稽さを感じました。
でも、それをしないと「美味しい!」「素晴らしい!」「いい匂い!」……。
平凡でありきたりな言葉でしかいいワインを表すことが出来なくなりますね。

それと同じことが薔薇にも言えると思うんです。
美しい薔薇を見て姿に感激し、匂いを試してみる……。
そして、自分の経験に照らし合わせ、記憶の糸を辿ってその匂いを表現する。
だからこそ色々な経験が必要になって来る訳です。

お亡くなりになった薔薇の大先輩、
ミスター・ローズ、鈴木省三さんが仰言いました。
薔薇を育てるなら音楽や絵画、芸術全般に親しまなければダメだ……と。
自らの知識と経験を増やし、物事を見る目を養い、
深くなくてもいい、引き出しを増やさなければ……。

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写真は去年のハイ・シーズンに、
軽井沢のレイクガーデンのホテル・ルゼで撮った「Falstaff」。
勿論、素晴らしい匂いなのですが、見るからに匂い立ちそうな色!
花の形、匂い、色……ある意味、完璧な薔薇だと思います。


10. 03. 2010


Benoit。


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by souslarose | 2010-10-03 00:00 | Under the Rose | Comments(14)

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