黙って飲め!

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 「うぅ〜む…………Hさん、
  これは雨の後の石を持ち上げた時の土の匂いがしますねぇ……。」
 
 「こっちは駿馬が草原を走り抜けた時の風の匂いがしますよ……。」

これは僕の親友たちが上等なワインを試している時の会話(笑)
いやいやいや、有り得ません。相当に薄気味悪いでしょう?
もうね、全身の毛が総毛立っちゃった(爆)顔の産毛が垂直に起立!
誰ですか、剛毛の間違いじゃないかって言っているのは!
あれはいつだったかなぁ……もう遥か昔の温泉……湯河原?でのことです。
ワイン好きの男女7人がそれぞれ自分の好きなワインを2本ずつ持ち寄ったのね。
夕飯の後の宴でこのうよな鳥肌ものの会話が交わされたわけです。
従って、宴のあとは14本のワインボトルが並んだ訳。
僕ね、このエピソード大好きなの。前にも書いたかな?可笑しくてね。
だって僕の親友は雨の後の石どころか、素手で土を触ったこともないハズなの。
駿馬?まさかねぇ(笑)牛と馬はさすがに間違えないだろうけど、
姥日傘の箱入り&深窓のぼんぼんでさ、何から何までお母さんにやって貰い、
魚は切り身で海を泳ぎ、薔薇は薔薇、ひまわりはひまわり……。
それぞれに品種と名前があることなんか全く無頓着なヤツだから(笑)
くちゅくちゅくちゅくちゅ……いつも集まってはワインを開け、
同じような会話をしていたんでしょうね。
(ただし彼らはワインのアドバイザーの資格あり!)
ある時、一緒にいた上司がその会話を聞いて一言、

 「黙って飲め!」って(笑)

それをコロコロ笑いながら教えてくれる愛すべき悪友なんですけどね。


さて、笑ってばかりはいられません。
危険ですね。僕らも同じことをしているかもしれません。
薔薇の匂いについて蘊蓄を披露する時に恥掻いていませんか?(笑)
ダマスク・クラシック、ダマスク・モダン、ティー、フルーティ、ブルー、スパイシー、ミルラ……。
一般に7つあると言われている薔薇の匂い。
なんとなくね、本に書いてあることや人の言うことを鵜呑みにしてね(笑)
だって、分からないことは沢山あるハズなんです。
好き嫌いが大きく別れるミルラとかね。あれって没薬でしょう?
ミイラの防腐処理に使われていたんでしたっけ?
元々のミルラの匂いを知っている人ってどれくらいいるでしょうね。
ティーとかははまだいいです。紅茶は僕らの身近にあるから。
個人個人の感じ方も違いますしね。

今日の写真、僕の薔薇「Bella Donna」……。
僕はデヴューの時に、
「ブルーの匂いにレモンを蜂蜜に漬けたような匂い……。」と表しました。
今回の越後丘陵公園の審査員の先生方の評は、
「豪華なブルーローズの香りにピーチのようなフルーティーと蜜のような軽い甘さ、
ゼラニウムの花らしい香りが加味された濃厚な香り」でした。
なるほど!「ゼラニウム」かぁ……僕の中には「ゼラニウム」はないんです。
だからこんなに素敵な言葉で表現できない……。

一般にワインの匂いを表す時に、
汚い言葉をなるべく使ってはいけないと言われています。
例えば、「濡れた雑巾の匂い」とか、「猫のオシッコの匂い」とか(笑)
他にもまだありますよ。「濡れ犬」「腐葉土」「濡れた新聞紙が蒸れた匂い」
「獣の匂い」……何だか鳥肌ものですよね。
まぁ、口に入るものですからね。綺麗な表現に越したことはありません。

先日、訪れた北海道。何が何でも帯広の北の屋台村の、
「プチ・プレジール」は行かなくてはなりません(笑)
北海道の最重要課題ですから。当日も早い時間から満席の「プチ・プレジール」。
チョッとマスターの手が空いた時にワインの匂いの話しを聞かせて貰いました。
件の猫のオシッコの匂いは、葡萄の品種で言うとソーヴィニヨン・ブラン。
代表的なワインの銘柄は「ピュイィ・フュメ」だそうです(僕の好きな銘柄……。)
僕なんか猫まみれの生活をしているから何となく納得しちゃうんですよ。

では、薔薇はどうでしょう?例えば嫌われ者のミルラ。
ビニール人形の匂いと言う人もいるし、水彩絵の具の匂いと言う人もいます。
僕はフランスでよく飲まれる、水で割ると白く濁るリキュール……。
ペルノでしたっけ?……を思い出します。
凄く臭いの(笑)友人が飲んでいるのを見ると「おぇ〜っ!」ってなっちゃう。
僕、酒は何でも来い!の口なんだけど、あれだけはダメかな(笑)

自分が感じた通り、自分の言葉で表現する……。
決して世の中の決まりに沿うことなく、自分が思うがままに表現すればいいと思うんです。
ティー(紅茶)だって、ダージリンのファースト・フラッシュとか、
ウバ・セイロンとか、もっと細かく表現したっていい。
「紅茶に蜂蜜を入れたような……。」とか「紅茶にミルクを入れたような……。」とかね。
要するに何か他の言葉で置き換えてその匂いを表現すればいいのだから。
だからもっと自由に自分の言葉で表現すればいいんです。
それにはもっともっと経験を積んで引き出しを増やさないとダメですね。
鈴木省三さんが仰言った、薔薇をやるには、いい音楽を聞き、
本を読み、絵画に親しむ……そう言うことなんですね。

ワインも薔薇も匂いを表現する、ある種、最低の決まりはあると思いますが、
そこに自分の経験から来る言葉で何かを付け加えられたらどんなに素敵でしょう。
知ったかぶりは恥ずかしいし、あまりお薦めできませんが(笑)

そうそう、これは僕の個人的意見だと思って聞いてね。
以前の記事で「匂い」と「香り」について僕の考えを書いたことがありますが、
「薔薇の匂いを嗅ぐ」はあまりスマートではないと思うの……。
「嗅ぐ」……字面が何やら臭いものを「嗅ぐ」じゃないですか。
それよりも「薔薇の匂い(あるいは香り)を試す。」それから「薔薇の匂いを聞く。」……。
日本の伝統の香道に通じるいい表現だと思うのですが如何でしょうか。


2014年8月10日


ブノワ。


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by souslarose | 2014-08-09 23:00 | Under the Rose

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