オールドローズは死んだのか?

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随分と久し振りに薔薇の販売店に行ってみました。
今年の薔薇の交配にどうしても欲しい品種があったから。
この店に来るのは何年ぶり?スグには思い出せないくらいの年月が流れています。

まだ新芽も本格的に動きだしていない2月の曇りの日……。
薔薇の売場には、僕の他に人っこ一人いません。
葉が全て落ち、剪定された薔薇の苗は美しいです。
通い慣れた店です、大体の薔薇の置場は分かっているハズ……だったのですが。
どうやら様子がおかしい……暫らくはその訳が分かりませんでしたが……。
そう、少し来ない間に「薔薇の地図」がガラリと様変わりしていたのです。
最後に訪れていた頃、売場の半分を占めていたのが、
当時大人気のイングリッシュローズでした。
残りの半分をデルバールなどのフレンチローズとオールドローズが占め、
その隙間を縫うようにハイブリッド・ティーや、
フロリバンダのモダン・ローズが置かれていた……。
ところが、この前行った時は、イングリッシュローズの割合がグッと下がり、
フレンチローズや木村さんの薔薇に代表される、近年の日本の作出家たちの薔薇が占め、
な、な、な、何と、オールドローズはごくごく少量、
売れ筋の品種だけしか置かれていませんでした。

オールドローズが売れていないことは随分前から聞いてはいました。
しかしこれ程とは……なぜ?なぜ売れない? あれほど素晴らしいのに……。
帰り道、そのことばかりを考えてしまいました。
やはり一番大きな原因は初夏に一度しか開花しない品種が多いことでしょう。
薔薇ファンは貪欲です。年に何回かの花を望みます。
一年に一回ではいけない?本当にそう? 貧相な2番花、3番花でもいいの?
年に一度しか花開かない薔薇の方が美しい花咲かせるような気がするのは僕だけ?
たった一度の開花に全生命力をかけて吹き出すように咲く薔薇……。
たとえ天候不順がたたったりして、その年に1輪も咲かなかったとしても、
そのガッカリ感を補って余りある感動を貰える美しい薔薇たち……。

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写真家の今井秀治さんが仰言いました。

 「一度しか咲かなくて何が悪い!」

オールドローズの真の魅力を知り尽くした今井さんならではのお言葉。
その語尾にチョッと憤りと寂しさを感じたのは、
僕と同じことを敏感に感じているからではないでしょうか。

このままではオールドローズはダメになってしまう……。
そう考えている人も多いと思います。
僕たちは今、オールドローズとモダンローズ、そして日本人の作出家の薔薇を一度に楽しめ、
ほぼ全ての薔薇の苗を家に居乍らにして購入することができる幸せな時代に生きています。
こんな薔薇冥利に尽きる国は日本以外のどこにもありません。
だからこそ、やらなくてはいけないこともあるのではないでしょうか……。
オールドローズを育て守る……大きな薔薇園にだけ任せていていいの?
手元で慈しみ育て、次の世代に伝えるのは僕たちの使命ではありませんか?
薔薇は生きものです。標本や種で保存することは出来ません。
一度、絶滅した薔薇は同じ交配親を使っても二度と同じ薔薇を作り出すことは出来ないのです。
あなたが育てているその薔薇がこの世界で最後の一本かもしれないのです。
何百年も続いてきたオールドローズの系譜、百花繚乱の今の薔薇の時代だからこそ、
心して守って行かなければならないのではないでしょうか。

新しい薔薇を作って販売している僕がこんなことを言うのも可笑しいですが、
僕の薔薇を1本買うならオールドローズを買いましょう!
細く連綿と続いたオールドローズの美しい系譜、火を消してはいけません。

今日の写真、1枚目は数年前に花鳥渓谷で撮った「Cardinal de Richelieu」。
2枚目は引っ越しして来る前のマンションのバルコニーで撮った、
「Complicata」とダメになった「Eclair」の台木からでて来たノイバラです。


20. 03. 2014


Benoit。


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by souslarose | 2014-03-20 00:00 | Raindrops on Roses

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