2014年 02月 17日
薔薇もまた地獄。
随分前になりますが、もう一つのブログ「匂いのいい花束。ANNEXE。」の方に、
ある映画会社に就職が内定していて、形だけの社長面接をする段になって、
やっぱり映画は一映画ファンで、業界に入らず外から気軽に楽しみたい……。
ギリギリで面接をお断わりした経験があります……と書いたことがあります。
新卒の夢見心地で青臭いエピソード……でも全く後悔はしていません。
映画の配給会社に入っていたら一体どんな人生だったでしょうね。
色々な部所があるでしょうから、売りにくい作品の宣伝に腐心しているかもしれないし、
カンヌ、ヴェネチア、モントリオール……世界格国の映画祭を駆けずり回り、
作品を買い付けしているかもしれません。
好きなことは趣味で止めておいた方がいい……その時の判断でした。
反対に好きな世界に飛び込んで、思い切り力を発揮していたら……。
それもまた素晴らしい人生、上手く行けばこれほど素敵なこともないのかもしれません。
よく思うんですが、子供の頃の夢を実現させ、
プロ野球の選手やサッカー選手に本当になってしまい大活躍する人……。
夢のような人生だろうけど、だからこそ人一倍の努力と犠牲が必要になるかもしれません。
趣味で始めた薔薇の交配が実を結んで、
皆さんの手元で可愛がって貰えるようになりました。
周りの皆さんに助けられ、親切にされてようやくのことです。
大好きな薔薇の歴史の末席を少しだけど汚すことが出来ました。
何も取り柄のない一人の人間の人生のハイライト、最も輝いた一瞬かもしれません。
ただ、薔薇をやっていていいことばかりある訳じゃありません。
なかなかどうして、イヤなことも沢山あります(笑)
薔薇なんかやめちゃえば良かった……なぁ〜んて思うこともしばしばね。
好きな薔薇を育てて写真を撮って好き勝手言って……。
その方がどれだけ気軽で楽だったかしれません。
そんなこんな、チョッと自棄になったり投げ遣りになった時、
この度の嬉しいお知らせだったり、年賀状に添えられた何気ない一言だったり、
僕の薔薇を影になり日向になり応援してくださっている方々の優しい気持ちだったり、
僕の薔薇を育ててくださっている方々の感想だったりが、
再び薔薇に対する気持ちを奮い立たせ、愛情を呼び覚ませてくれたりします。
ある薔薇の専門家Mさんの今年の年賀状に添えてあった、
「個人の育種は大変だと思いますが頑張ってください!」……。
この一言がどれだけ身に染みたことか。
薔薇の世界に身を置いている方だけが分かる大変さを知ってらっしゃるからこその言葉。
心が折れそうになった時に薔薇の大先輩Aさまから送られて来た小冊子……。
それから無農薬で薔薇栽培を楽しんでいらっしゃる方の著書で、
自分の薔薇が紹介されているのを見た時の驚きと感激……。
そして言葉には出来ない感謝の気持ち……本当にありがたいです。
花は綺麗だけど花屋に勤めるのは大変です。
冬の冷たい水、それぞれの花に対する知識……。
好きという気持ちだけでは勤まらないですよね。
薔薇もまた然り。何事もそれをなりわいとすると厳しさが一段と増します。
憧れの世界も、その中に身を置くと綺麗事では済まない部分が沢山出てくる……。
適当に距離を置き、客観的に外から見る目を失わず……その辺の兼ね合い、
さじ加減が難しいのかもしれません……。
17. 02. 2014
Benoit。
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