2013年 12月 04日
まつおえんげいにて……。
以前、お話したかもしれませんが、
2010年に僕の薔薇がコマツガーデンのご好意で発売されるようになりました。
その頃からかなぁ……薔薇を買えなくなっちゃったのね。
あれだけ毎年、毎年、オールドからイングリッシュ、
現代薔薇まで50本から60本もの薔薇を買っていたのに、
一切、薔薇を買わなくなりました。買わないと言うよりも、
買えなくなったと言った方が正しいかな。
買えなくなった理由はね……今の薔薇界って新しい品種が年間に夥しい数出るでしょう?
ファッションの流行みたいに次から次へと新しい薔薇が出て、
翌年にはまた次の薔薇へと人気が取って代わられる……。
どんなに素晴らしい薔薇も同じ運命。余程、歴史的に価値があるか、
雑誌や本などの媒体への露出が多く、宣伝が上手く行って、
ようやく数本が残る……そんな感じじゃないですか。
それに合わせて薔薇を育てている皆さんの意識も変わって来ました。
インターネットの利用など、苗を気軽に簡単に買える環境も整っています。
薔薇は生きものです。置物じゃありません。
大きくもなります。思ったように育たないかもしれません。
薔薇の品種の中には買った年、その翌年には樹が育たず実力を発揮しない薔薇もあります。
皆さん、薔薇を評価(優劣の判断)するのが早くなりましたね。
慈しみ育てる……少なくなってきたように思います。
スグに結果が出ないと抜いて移植したり、人にあげちゃったり(苦笑)
一度は気に入って買った薔薇をスグにダメ出しして人にあげてしまう……。
その辺の話しを楽し気に話す……僕には理解できないんです。
「チャリティー」とか「寄贈」とか言う名目でどこかの公園に植えちゃったりね。
それって体のいいお払い箱じゃないですか。
新しい薔薇が欲しいから、まだ本当の素晴らしさも分からない内に処分しちゃう……。
一回、手元に来たら手塩にかけて育て、
それでも枯れてしまったりしたら話は別ですけど……。
自分が出した薔薇がそんなことになったらイヤだな……って思ったの。
そんな風に思ったら薔薇を買えなくなっちゃった。
勿論、買えなくなっちゃった間にも、木村さんや河合さん、
本当にいいなぁと思った薔薇はお迎えしましたけどね。
僕のイングリッシュローズの最新品種が「Claire Austin」で止まっているのが、
僕が薔薇を買えなくなっちゃった空白の時間がどれくらいかを計る、
いい目安、証拠になると思います。
念願叶って秋たけなわの「まつおえんげい」に行ってまいりました。
松尾さんにはいつも良くして戴いているのにね、遊びに行くのは初めて。
久しぶりに松尾さんにお目にかかる楽しみの他に、
実は幾つか薔薇を買うつもりだったのももう一つの楽しみでした。
久しぶりに新しい薔薇を育てて見るつもりになったんです。
今の薔薇の世界がどんな流れになっているか、どんな品種が人気なのか。
その人気の理由は何なのか……自分で育ててこの目で確かめたくなったんです。
今までみたいに無闇矢鱈に、当たるも八卦、当たらぬも八卦的な交配は卒業!(笑)
少し勉強してから傾向と対策を練って新しい薔薇の作出に臨みたい……そう思います。
今日の写真は丁寧な梱包で届いた「Malvern Hills」。
去年の春、国営越後丘陵公園で見て一目惚れしちゃいました。
春の満開の頃も圧倒的に素晴らしいけど、秋の花、それから紅葉も美しいです。
今、青々とした葉と紅葉。それから美しい花と真っ赤な愛らしい蕾が一本の苗に付いています。
しかしイングリッシュローズの進化は凄いですね。
これだけ素晴らしいバラエティーが揃うと、
そこから生まれる薔薇の純度、完成度、平均点は高くなります。
毎年、毎年、その平均点を上回る薔薇を作り出して行く驚異。
「Malvern Hills」……少しお休みをしていた僕が、
新しい薔薇を育ててみたいと思うに十分な薔薇でした。
05. 12. 2013
Benoit。
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