薔薇園には儲かって欲しい。

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この世で最も美しい花だと言われている薔薇……。

その楽しみ方は人それぞれです。
薔薇を実際に育てて慈しむ人。切り花を買って来て愛でる人。
花にしか興味がない人、また、花のみならず、葉や刺にも興味を持つ人。
写真を撮ってアルバムを作る人。交配をして実際に薔薇を造り出す人……。
薔薇の栽培の仕方も人それぞれにやり方が違います。
そして、コツを覚えると次の段階に進みたくなりますよね。
そう、自分で薔薇を増やしてみたくなるんです。
ご存知のように、同じ薔薇を増やすには、芽接ぎ、切り接ぎ、
そして、挿し木の3つの方法しかありません。
皆さん、熱心にやっていますね、挿し木とか接ぎ木……。

今日は、チョッと前に「匂いのいい花束。」に書いた文章に、
加筆修正して再アップしてみたいと思います。
薔薇の関係者はなかなか言えないこと……です。
ホラ、僕、アウトローだから(笑)
そんなブノワ。さんの戯言だと思って読んで下さい。



僕の薔薇の楽しみ方は薔薇の苗を買って育てて愛で、
写真を取って楽しむだけ。ヒョンなことから趣味が高じて、
オリジナルの薔薇が陽の目を見る事になりましたけど、
現存する薔薇を自分では決して増やしたりはしません。

その訳は、僕は薔薇園(ナーサリー)には儲かって欲しいからなんです。
薔薇の苗は薔薇園から買う……それが僕の中の決まり事、絶対的なスタンスです。
新苗で高々1500円、大苗で4000円前後です。
その高々4000円の薔薇だって、いい状態、売り物の状態に保つのに、
一年間を通して、一体、どれだけの労力と人件費が掛かっているか……。

薔薇は薔薇園から買う。そして薔薇園に儲かって貰い、体力を付けて貰って、
希少な品種や絶滅に瀕している品種を守り、育てて欲しいのです。
薔薇園も商売です、矢張り、売れ筋を中心に生産するでしょう?
珍しくても人気があまりない品種は生産しなくなってしまいます。
例えば、往年の銘花と言われる薔薇でも、需要がなければ次第にリスト落ちです。
数年後には親木が1本だけ……そんな事になりかねません。
大袈裟ですけど、フトと気付けば、日本はおろか外国を見回しても、
1本も苗が見つからない状態になってしまうかもしれません。
例えば、オースチン社には親木が1本もないけれど、
日本やオーストラリアで大事に育てられている品種もあると聞きます。
あなたが大事にしているそのイングリッシュ・ローズ、
もしかしたら世界的に非常に稀少な品種になっているかもしれないのです。
薔薇にも非常にハッキリとした流行、廃りがあります。
数年前は右も左もオールド・ローズでしたよね?
猫も杓子もオールドローズが一番!……でしたよね?だけど今は?
流行って廃れて、流行って廃れて……また流行ろうとした時には……。
その繰り返しで絶滅して来た薔薇は数限りないのです。

世界でも稀少な薔薇の親木、それを育てるのも大変です。
一年を通して作業がある、絶やしてはいけないと言う責任もありますしね。
手間は掛かれど苗を作っても全く売れない……薔薇の賞味期限は非常に短いです。
スグに新作が出て、流行に乗り遅れた品種はスグに廃れる。
現に、数年前に薔薇ファンを興奮させたイングリッシュ・ローズの最新品種、
全部、言える人がどれほどいるでしょうか。
それだけ新しい薔薇が毎年〜発表されて来ている。
皆さん、新しい、美しい薔薇はやっぱり欲しくなりますよね?
だって、物凄く綺麗で耐病性もあり繰り返し良く咲くんだもの。
いい薔薇だけど作っても売れずに在庫管理に追われる……。
薔薇は流行の洋服じゃありませんからね。
生きているんだもの、売れ残ったからって簡単に廃棄するわけにはいかない。
バナナじゃないんだから叩き売りする訳にもいかない。
そんな状態が続けば何れは薔薇園も売れる薔薇しか販売しなくなります。
どこの薔薇園のカタログを見ても同じ品種しか載っていない事態になります。

だから薔薇園には余力を残し、余裕を持って貰うことで、希少な品種、
派手さはないけれど本当にいい薔薇を残して欲しいのです。
だから僕は薔薇は薔薇園から買う……絶対に自分で増やしたりしません。

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 「個人で楽しむものなんだからいいじゃない?」

確かにそうかもしれません。お説ごもっとも、
増やして楽しむのも個人の自由だし、当然の権利かもしれません。
自分の手で増やした薔薇は愛おしいですよね。
でも、お友達と話しをしていて、褒められちゃったら、
ついついプレゼントしたくなりませんか?
その1本が10本になり、10本が100本になり……。
どんどん増殖して薔薇園の体力を奪っているのです。

薔薇界にも苦言があります。

僕ね、不思議に思うんです。
薔薇園で芽接ぎや接ぎ木の講習会とかするでしょう?
自分で自分の首を絞めているような……そんな気がするんです。
普通、代々続く老舗の鰻屋は秘伝のタレのレシピは教えないもの。
伝家の宝刀、奥義はごくごく簡単にマスター出来ちゃう(笑)皆、器用だもの。
そりゃぁ、成功する確率からすればプロの足元にも及ばないけれど、
下手な鉄砲数打ちゃ当たる……だと思いませんか?
それって、同じく、レコード会社を傘下に持つオーディオ・メーカーが、
高品質の録音器機を作っているのと同じような矛盾を感じます。
「録音は個人で楽しむ他に……。」って、但し書きがあるけれど……。
映画会社が物凄い早さで作品をDVD化し、劇場の客離れを招いている。
なぜ、客が入らない?……って、嘆き、不思議がる前に、
その一番の原因を作っているのは自分たち……。
自分の尻尾に自分で噛み付きグルグル回っているような……そんな感じがします。
薔薇が消耗品になっているような……そんな気がします。

どうしても自分で薔薇を増やしたいのであれば、
とっくに権利がなくなっているオールドローズでやりましょう。
今の新作を「バック・アップ」と称して勝手に増やしている人も多いです。
一体、何のバックアップ?何に保険をかけているの?
悪意はないのかもしれませんが、それって違法だし非常に重大なことです。
あなたが不法に増やした1本が、薔薇園の売り上げを少なくし、
作出家の権利を侵害しているのです。
僕なんかは趣味の域を出ないから痛くも痒くもありませんが、
薔薇で生活をしている人にとっては死活問題だと思いませんか?
法的に種苗登録していなくてもモラルの問題だと思うのです。
あなたが愛する薔薇を精魂込めて作って下さっている人々の、
生活を無意識の内に危うくしているのですよ。


僕自身について言うと、
僕の薔薇を勝手に増やされたら……非常にイヤぁ〜な気がします。
凄くイヤかもしれない……何よりも一番イヤなこと……。
それって怒りの感情じゃないのね。
ドンヨリとやるせない感じがします……強いて言えばガッカリ感かな。
一番して欲しくないこと……それが不法増殖です。

中には冬の剪定時期に、販売店や薔薇園に赴き、
カットした枝を無理矢理に貰って歩く強者もいると聞きます。
剪定作業をしているスタッフの後ろを付いて回るんだそうです……。

 「切った薔薇の枝を下さい。」って。

考えられない……真面目に何だかドンヨリしちゃいますね……。
八百屋さんに行って、兎にあげるキャベツの葉っぱを分けて貰うのとは訳が違う。
僕にはそんなこと恥ずかしくて絶対に出来ない。

何度でも言います。

 「薔薇はお金を出して薔薇園から買いましょう。」

決して接ぐな、絶対に増やすなとは申しません。
その陰にこうした事情があることも知って欲しいのです。
世界を見回しても日本ほど沢山の品種が簡単に手に入る国はありません。
それらの美しい薔薇を思う存分手に入れられる!何と贅沢な!
それを当たり前だと思わないで下さい。
自分の安易な行為が薔薇の世界を切羽詰まったものにしている可能性がある。
その事を知って欲しいのです。

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今日の薔薇は僕の今年の新作「Marquise de Merteuil」です。
カタカナ表記は「マルキーズ・ドゥ・メルトイユ」。
メルトイユ公爵夫人……このブログで初めて名前を公表しました。
それも、僕はこの薔薇に並々ならぬ愛情を持っているから。
この上なく大事に思っているから大切に機会を窺っていました。

フランスの書簡形式の傑作小説「危険な関係」からの命名です。
ダメですよ、マルちゃんとかマルチーズとか言っちゃ!(笑)
「My GARDEN」をお読みになった方も多いと思いますが、
命名の由来についてはまた日を改めて書かせて戴きますね。


24. 04. 2011

Benoit。


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by souslarose | 2011-04-24 00:00 | Under the Rose

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