New Roses SPECIAL EDITION for 2011。

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視覚、嗅覚、聴覚、味覚、触覚……。
人の五感の中で嗅覚が一番、記憶と密接に繋がっていると思います。
それぞれの感覚も、勿論、埋もれた記憶を喚起し、
僕達を過去に誘ってくれますが、何と言っても嗅覚が、
一番、鮮明に、かつ、広がりを持った記憶の世界に僕達を連れて行ってくれます。

僕は小さい頃から映画が好きで、良く時間を見付けては、
早い時期から映画館の暗闇に身を沈めていました。
スクリーンに映し出される映写機のまばゆい光。
カタカタカタカタ……映写機がまわる音、一筋の光を遮る、
客席から立ちのぼる紫煙の行方(当時は場内で喫煙可能だった!)
都内の高級ロードショウ館、地方の場末の劇場、それぞれの匂い。

映画……それは僕の人生の教科書。
暗闇に身を沈め、幕が上がると一気に僕を未知の世界に連れて行ってくれます。


 冬のニューヨーク。マンホールからもうもうと立ちのぼる蒸気の生暖かい匂い。
 ドライバーは少女を救うために立ち上がります。

 蠟燭の灯りとカード遊びに興じる貴族たちの幾重にも塗り込めた白粉のすえた匂い。
 決闘と女遊びの繰り返し……一人の男の放蕩の人生の末路は……。

 広大な向日葵畑。哀しみに表情をなくした女の頬をウクライナの風が優しくなでる。
 暖かな夕餉の匂い、乳飲み子の匂い、対照的な工場地帯の鉄の匂い……。

 人目を忍ぶ逢瀬は潮と汗の匂いがする。
 日傘を波打ち際から崖の上まで飛ばすアイルランドの風。

 ロック歌手の専用機の中に充満する煙草とドラッグ、バーボンの匂い。
 破滅に向かって絶唱する悲しい女の満たされない人生。


優れた映画は視覚や聴覚だけで訴えるのではなく、
あるハズのない嗅覚で僕等をさらなる未知の世界に連れて行ってくれます。
映画の匂いにまつわる数々の想い出……。
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薔薇ファン待望の「New Roses Special Edition for 2011」が発売になりました。
編集長の玉置一裕さんが、ご親切に今回も、丸々1ページ、
僕の薔薇のために割いて下さいました。テーマは「香り」……。

 「お好きな映画をモチーフに如何ですか?」

お言葉に甘えて、それぞれに匂いのいい、
「Under the Rose Series」4品種の中から「Bella Donna」を選び、
僕なりに書いてみたものが巻頭特集の4つのエピソードの中に掲載されています。

匂いと映画……何だか捉えどころが内容で苦労しましたが、
「自由にページを作って下さい。」と言う玉置さんのお言葉に甘えて、
僕の中で印象深い映画3つを選び、それぞれの主人公の年代に合わせて、
「Bella Donna」の蕾から散る間際までの3枚の写真と、
それぞれの主人公へのオマージュ……のような文章を添え、
花が咲き進むさまを女性の人生になぞらえて……。
デザイナーの家常善光さんに丸投げいたしました(笑)


 南部の大地を駆け抜ける生き生きとしたスカーレット……。

 まさに大輪の薔薇が咲き誇っているような哀しみのソフィー……。

 夢か現か……老いへの恐怖と過去への郷愁に身を委ねるブランチ……。


 「どんな感じにしましょうか?何か希望はありますか?」
 「ン?兎に角、一番素敵なページにして下さいね。」

そして出来上がったのが、巻頭の9ページ目になります。
僕の勝手でいい加減なリクエスト(しかも要求は高い・笑)にめげず、
押しつけ、責任逃れの言いたい放題にも関わらず、
素晴らしいページに纏めて下さった彼の才能に脱帽です。
昨今のグラフィック・デザイナーの仕事は多岐にわたります。
昔は写真や文章をレイアウトするのが主でしたが、
最近は可成りの分野に渡っての知識とテクニックが求められます。
今回の「New Roses Special Edition for 2011」の中で、
家常さんが一番、楽しくかつ自由に創造出来たのが僕のページなのではないか……。
我が儘で勝手な僕はそんな風に思っています(笑)

早速、手に取られて読まれた方も多いと思います。
薔薇の匂いに関してこれほど詳しく、また、読み物として、
専門書としても充実した本が今まであったでしょうか。
これで薔薇の楽しみ方が一層、深いものになりましたね。
秋の夜長、是非、手元に置いてジックリ読んでみたいものです。
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「Bella Donna」…………。

小さな硬い蕾が花開きはじめた直後は典型的な高芯剣弁なのですが、
満開から散り際に向かって雄大な様相を呈します。この薔薇が一番美しいのは、
ラベンダーに退色して花弁に艶がなくなって来るその最後の瞬間……。
スパイシーなブルーの匂いに蜂蜜とレモンの匂いが混ざります。


08. 10. 2010


Benoit。


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Commented by at 2010-10-08 14:41 x
Benoit。さん、こんにちは。

Benoit Magimel が我が家にやってきて、昨日初めての花を咲かせました!
たいへ~ん。食卓にBella DonnaとBenoit Magimel が活けてあるんですよ!
朝から大騒ぎです(笑)

>スパイシーなブルーの匂いに蜂蜜とレモンの匂い
…そうですか。では帰ったら、イメージしながら匂いを楽しんでみることにします。
Commented by raretaste at 2010-10-08 18:01 x
こんばんは。未だ手には入れていないのですが、今から買い物に出かけるので、本屋を覗いてみます。
三枚の写真は、どれも別の花の様に見えますね。劇的な変化、どうやら花芽を付けてくれそうなので楽しみにお待ちしてみます。
Commented by lacasamia3 at 2010-10-08 19:13
ブノワさん、素敵なお写真有難うございます。PCの画面から、ふとバラの香りが漂ってきました(笑)。バラにも色んな形や色があるのだということ、今日、ユキちゃんが学校から帰ってきたら、こちらのブログを開いて見せてあげようと思います。
Commented by Noir-Z at 2010-10-08 21:09
Benoit。さま

『Bella Donna』。
僕が敢えてこの薔薇を最後にしようと思ったのは訳があるんですヨ.笑
Tea Roseを愛してやまない僕が
この薔薇を前にして素通りできる訳がありません...。
この夏に引っ越しをしたおかげで今まで読んできた懐かしい本たちと
再会し、しばし段ボールの前で時間を忘れては読み返し読み返し。
テネシー・ウィリアムズはやはり天才だな...と思います。
ブランチは僕の心のどこかに潜んでは現れ、
隠れたと思えば顔を出す...。そんな存在です。
杉村春子さんのブランチを是非リアルタイムで観たかった!
東恵美子さんのブランチも...そして岸田今日子さんも。
僕が繰り返し読んでいるのは小田島雄志氏訳のものですが
他の方が訳したものも改めて探して読んでみようと思っています。

薔薇の散り際。
艶がなくなり水分が飛んだ花びらの美しさ。
僕は今、薔薇と出会えて本当によかったと思っています。
僕の人生観をすっかり変えてしまったのですから...。
『Bella Donna』を僕が迎え入れる日はやってくるでしょうか?
今はただその日を心待ちにし、ぼう...っ.....と夢を見ています。

G d D
Commented by rosedeco at 2010-10-09 03:34
ブノワ。さん、おはようございます。

どの写真も素敵だけど最後のベラ・ドンナに本気で感動しちゃいました。
美しいですね!
お写真もスゴい……
大好きです。
秋のこの薔薇に早く会いたい!!

歩夢
Commented by cream tea at 2010-10-09 15:05 x
こんにちは。

三枚のお写真で、時間の経過とともに色姿の変化がとてもよくわかります。
この変化があるからこそ薔薇は楽しめますね。

つぼみから開き始め散りゆくまで、どの品種も咲いてる姿には
目を奪われますが、この品種はとりわけこの時が一番好き、というのが
それぞれにあると思います。
何よりつぼみが可愛らしい品種もあれば
散り際の今にも花弁が落ちそうな時がよいと思うものも・・・
どれも個人的な好みの問題なのですが、
それがまた楽しいですね♪

早速手にとって読ませていただきます。
楽しみです!
Commented by 葉月 at 2010-10-09 15:39 x
ブノワ。さん、こんにちは♪
NewRoses,今我が家にも届いたところです。
ほんとうに素晴らしいページでした。
こちらの画面とかわるがわる眺め、うっとりしています。

今までお花を我慢してきたうちのベラ・ドンナも
この秋にはこんな美しさをみせてくれるでしょうか。
小さな蕾をどきどきしながら見守っています。
Commented by あけ at 2010-10-09 21:00 x
ブノ。ちゃん・・・・・拝見いたしましたぁ~♪
素敵なページになってるね。

あけの家の女優さんも咲き始めたよ。

明日も雨だから、お部屋でNewRosesを見ながら、
来年の春の夢でも見ようかな♪
Commented at 2010-10-09 22:32 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented at 2010-10-09 22:54 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by souslarose at 2010-10-14 08:30
碧さんへ。
おはようございます。いつもメッセージありがとうね。
咲きましたか「Benoit Magimel」どうですか?なかなかいいでしょう?「Bella Donna」と一緒に生けて下さって僕も嬉しいです。匂い、試してみて下さいね。感じ方は人それぞれですけど、素晴らしい匂いには変わりありませんので!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 08:34
raretasteさんへ。
おはようございます。ようやく秋らしくなって来ました。
お元気ですか?メッセージどうもありがとうございます。
もう既に入手かと思いますが、どうでしょう?母とのせめぎ合い(笑)まぁ、することはキッチリ済ませてからの方がいいですよね、ゆっくり出来ますもん。しかし豪華な内容でした。一冬かかっても読み切れないかもしれません。しかも素晴らしい薔薇が満載。オマケに全部手に入るんですもんね!「Bella Donna」3様の他に最新記事の写真も、そして、昨日撮ったさらに咲き進んだ写真もあります。その内ご覧にいれますね!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 08:37
chihoさんへ。
おはようございます。お忙しいでしょうにメッセージ恐縮です。
そう、薔薇にも色々な形や色、そして、匂いがあります。ユキちゃんどんな感想を持ったのかな?凄く知りたい気がします。そちらには有名な薔薇園がありますよね?僕が行ったのは正月でしたから行く事はありませんでしたが、偶然にもピッティ宮の奥の城壁のところに小さな薔薇園を発見!花はなくとも嬉しくて散々歩き回りましたっけ……向こうの丘陵地帯に広がるオリーブの樹々、靄がかかって本当に綺麗でした。今度その辺も紹介して下さいね!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 08:46
G d Dさま。
おはようございます。好い陽気になって来ました。お元気ですよね?
さて「Bella Donna」……散る寸前の写真、見ましたね?買わない訳には行かないでしょう?どうです、あなたは今スグ欲しくなる、欲しくなる、欲しくなる……んガガガガガガ!(笑)テネシー・ウィリアムズはいいですよね。酒と男に溺れ自堕落で……杉村さんの公演を観に来た時にはベロベロだったそうです(笑)演劇の醍醐味は、今、この時間を素晴らしい俳優と共にすること……これに尽きますね。杉村さんは究極でしょうねぇ。東さんは立派なブランチでしたよ。チョッと先生っぽいんですが(当たり前か)その内面に秘めた欲望がね、押し隠しているだけに哀れでした。今をときめく高畑淳子、津嘉山正種さん好演。岸田さんはねぇ……岸田さんのブランチでしたよ。そうそう友達がスタンレー演ったんでした。ウィリアムズも三島もひさしさんも、ああ言うエグい戯曲家はもうでないでしょうね。「Bella Donna」ボォ〜っとしていないで早く買ってね!(笑)

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 08:51
歩夢ちゃんへ。
おはようございます。スッカリご無沙汰です。
元気にしていますか?天高く馬肥ゆる秋……僕は美味しい米と超美味なバターで太り気味です(笑)さて、写真を気に入ってくれたみたいで何よりです。もっと凄いのありますよ(笑)今度こっそりお見せしましょうね。我家の「Bella Donna」は一足早く咲いちゃいました。もう一回見られるかな?秋の花はいいので楽しみにしていて下さいね!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 09:00
cream teaさんへ。
おはようございます。お元気ですか?
そろそろ忙しくなって来る頃かな?メッセージどうもありがとうございます。
そうなのね、薔薇ってどの時期が一番いいか人それぞれ。蕾や満開の頃は勿論だけれど、散り行く間際も綺麗だしね。もっとグジュグジュになった姿もまた美しい(笑)それが薔薇の魅力でしょうね。僕の中での「Bella Donna」はこの先、散る寸前が一番美しいと思っているんです。艶がなくなってグレーがかって来て花弁がシワシワで……今度、写真をお見せしますね。そうそう、友達に紹介する話しも11月くらいに!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 09:04
葉月さんへ。
おはようございます、メッセージどうもありがとうございます。
どうですか?大分、蕾が膨らんで来たのではありませんか?我家の「Bella Donna」は秋の花が終わったところ、もう一回、見られるかな?この春は「Bella Donna」を撮って撮って撮りまくりました(笑)何枚撮っても撮り足りないんですもん。昨日もバシバシ撮りましたから、近々、その写真を使って記事を書きますね。「New Roses Special Edition for 2011」では皆さんに本当にお世話になりました。お陰さまで記念のページです!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 09:07
あけさんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとう!
どう?夢から覚めましたか?醒めたら僕の薔薇を各4本ずつ買いましょうね!鉢が余っているそうじゃないですか!(笑)買ってくれなきゃ友達やめる!(笑)ウチはあまり雨の影響は受けないんですが、最近のバケツを引っくり返したような豪雨……皆さん、気が気じゃないでしょうね。あけさんのところの秋薔薇の様子は?期待してお茶に行っても大丈夫?(笑)

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 09:12
インスピレーションさんへ。
おはようございます。わざわざメッセージをありがとう!
そう言って戴けると嬉しいです。何しろ編集長が凄い人ですし、他の皆さんも素晴らしい薔薇と共に色々と企画していると聞き、だったら僕の色をどうやったら出せるか?考えてあのページになりました。デザイナーの家常さんにおんぶに抱っこでしたけどね(笑)秋になり家でゆっくりとする時間が増えました。美味しい珈琲か紅茶(勿論、お酒も!)を用意してジックリ読んでみたい一冊ですよね。しかも素晴らしい薔薇満載で罠がそこここに(笑)薔薇がさらに凄い事になって来ていますね!

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-14 09:20
秋の夜長さんへ。
おはようございます。メッセージ恐縮です。
そう、薔薇が他の美しい花々と一線を画すのはその点ですね。それにつきると思います。古の時代から、文学、音楽、絵画、彫刻……あらゆるものに形を変えて魅力を増して来ました。その一番の理由は矢張り匂い。勿論、姿が美しいと言うことを抜かしてですけど、匂いがあったからこそ薔薇がここまで人々に何百年も愛されて来たんだと思います。反対に、もし薔薇がこの世に存在しなかったら、随分と寂しい芸術の世界になっていたのではないでしょうか?極めなくてもいい、少しでもいいから色々なものに触れて引き出しを増やしたいものです。そしてもっともっと薔薇に対する表現を磨いて行けたら……そう思います。

Benoit。
by souslarose | 2010-10-08 00:00 | Under the Rose | Comments(20)

Let's talk about roses。


by ブノワ。
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