匂いの惑い。

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このところ陽射しがスッカリ秋めいて来ました。
秋の清々しい風、薔薇のシーズンに向かって心が弾みます。
我家でもそろそろ秋の薔薇が開花して来ました。
皆さん、夏場の手入れは万全ですか?
思ったように蕾が上がって来ていますか?
秋の薔薇は色や匂いが深く、春とはまた違った趣です。

さて、薔薇と匂い……切っても切れない関係です……特に近年は。
薔薇が美しければ美しいほど期待され、求められる匂い……。
残念ながら、そして悲しいかな、美しい薔薇に
必ずしも陶然とする匂いがある訳ではありません。

フランスのデルバール社は薔薇の匂いを細分化、
香水の様式になぞらえて、トップノート、ミドルノート……。
時間と共に変化する薔薇の匂いを表現しています。
現在、薔薇の匂いは大きく分けて7つあると言われています。
人々は競って薔薇の匂いを美しい言葉に置き換えようとしています。
様々な果物の匂いに始まり、言葉の限りを尽くして……。
その様は、ワインの匂いを表現するのに似ています。
ワインも美しい言葉、いい言葉でその匂いを表現するのが慣しとなっています。
例え、ピッタリの言葉があったとしても、
所謂、マイナス・イメージの言葉は使ってはいけないとされています。

さてさて、薔薇の匂いをどう表現するか……。
ここで残念なのは自分の語彙の少なさ(笑)
例えば、果物の林檎や苺、桃やアプリコットやレモンは兎も角、
ラズベリーやスグリとなると何とも心元ありません(笑)
薔薇によく使われる「ミルラ」の匂い……。
没薬、ミイラを作る時に防腐剤として布に塗り込めた薬の匂い……。
今、現在、それを実際に試してみられる人ってなかなかいませんよね。
ミルラの匂いだと言われる薔薇から逆にミルラの匂いを想像するしかありません。

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随分と昔の事になりますが、
ワイン好きの友人達に誘われて箱根に温泉旅行に行った事があります。
同年代、育った環境も仕事も全く違う女性1人を含む総勢7人。
旅の決まりはそれぞれのお気に入りのワインを2本持参すること……。
宿に着き温泉に入り、さぁ、いよいよワインの宴の始まりです。
皆さん、ワイン・アドバイザーやソムリエの資格を持つ面々です。
高級ワイン、稀少なワインがズラァ〜ッと14本テーブルに並びました。
ここで僕は鳥肌が立つ経験をしたんですよねぇ……(笑)
今でも笑い話で良くするんですが……。

 M「どうですかHさん、このワインは?」
 H「うぅ〜む、駿馬が草原を走り抜ける時の香りがします。」
 M「おぉ〜っ!それは素晴らしい!こっちはですね、
   雨上がりの草むらの大きな石を持ち上げた時の土の匂いがします。」

こんな感じで会話が進んで行きました(笑)
おいおい、君たちそんな匂い知らないでしょう?
ガリ勉タイプの2人とも駿馬が走り去った時の匂いも
石を持ち上げた時の土の匂いも知らないハズなんです(笑)
経験がないことを口にする可笑しさ、滑稽さを感じました。
でも、それをしないと「美味しい!」「素晴らしい!」「いい匂い!」……。
平凡でありきたりな言葉でしかいいワインを表すことが出来なくなりますね。

それと同じことが薔薇にも言えると思うんです。
美しい薔薇を見て姿に感激し、匂いを試してみる……。
そして、自分の経験に照らし合わせ、記憶の糸を辿ってその匂いを表現する。
だからこそ色々な経験が必要になって来る訳です。

お亡くなりになった薔薇の大先輩、
ミスター・ローズ、鈴木省三さんが仰言いました。
薔薇を育てるなら音楽や絵画、芸術全般に親しまなければダメだ……と。
自らの知識と経験を増やし、物事を見る目を養い、
深くなくてもいい、引き出しを増やさなければ……。

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写真は去年のハイ・シーズンに、
軽井沢のレイクガーデンのホテル・ルゼで撮った「Falstaff」。
勿論、素晴らしい匂いなのですが、見るからに匂い立ちそうな色!
花の形、匂い、色……ある意味、完璧な薔薇だと思います。


10. 03. 2010


Benoit。


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Commented by raretaste at 2010-10-02 20:35 x
こんばんは。
濃い色のアストランティアも、青い青いボトルもきれいですねぇ。
10月の終わりごろ、やっと念願のレイクガーデンに行くチャンスができました。一人で勝手に・・・秋の花を見るのにちょうど良い時期だとほくそ笑んでいます。でもまだ、どなたも誘ってないんですよ。一人で行ってみようか、迷っています。
おいしいワインは、「うまーい」の一言じゃ、だめですかね?

Commented by tsugumi-normalis at 2010-10-03 11:37
ブノワ。さん、こんにちは。

駿馬が草原を走り抜ける時の香りはちょっと想像できない・・
それが素晴らしい香りなのかも分からないです^^;
でも、「雨上がりの草むらの大きな石を持ち上げた時の土の匂い」は
なんとなく理解できるかも(笑)
まさかワインの香りで使う表現だとは*≧m≦

以前、ほうじ茶フレーバーのシフォンケーキを食べたときに
「公園の灰皿に雨が入って薄まったような味」だと思ったことがありました^^;
正直に言葉にしたら、一緒に食べていたお友達に嫌がられたけど
ほんとにそんな味・匂いだったんですよー(笑)

Commented by souslarose at 2010-10-03 13:11
raretasteさんへ。
こんにちは。穏やかな日曜日になりました。今日はお休みかな?
さて、いつもメッセージありがとうございます。お陰で励みになっています。ワインですが、美味しかったら黙って飲むのがいいでしょうね(笑)美味しい料理、素晴らしい芸術は言葉をなくしますから……。今月末にレイクガーデンですか。素敵かもしれませんね。薔薇と紅葉の競演ですってね!一体どんななんでしょうねぇ……きっと混んでいないでしょうからレイクガーデン独り占め?様子はブログで拝見出来るかな?

ブノワ。
Commented by souslarose at 2010-10-03 13:18
つぐみさんへ。
こんにちは!お元気ですか?
メッセージどうもありがとうございます。そう、土の匂いなら僕達は得意ですよね(笑)駿馬はきっと「爽やか」だって言うことを言いたかったのじゃないかって……この日じゃないんですけど、そのHさんの上司で矢張りワイン好きの方が、グジャグジャ言っている後輩たちに向かって「黙って飲め!」って仰言ったそうです(笑)ほうじ茶ですけど、つぐみさん公園云々の味……実際に知っているんですか?(爆)でも「公園」と付くところが何やら文学的です(笑)世の中には口にする事を憚られる類似がありますよね……えぇっとえぇっと……(笑)僕はね、腐葉土を見るとほうじ茶を連想します。某Oさんはミルラがビニール人形だと言いますし(笑)人それぞれ感じ方も違うし表現方法もそれぞれ。何れにせよ経験が物を言いますね(笑)

Benoit。
Commented by tn at 2010-10-03 19:45 x
あっ,香りについてのコラムですね,ありがとうございます. レミ・チャンの香りについてお尋ねして以来,香りを説明するとしたらどんな風にするかと気にかけていました. 例えられなければ説明しにくいし,連想できないものは想像しにくいしで難しいものですね.

それから,コメントしそびれてしまいましたが,とあるお宅の,竹竿(!!!)に絡むクレマチスの向こうに女性像が佇むバラの庭の写真が良いなあ,と思ってよく思い出しています.その辺の竹薮から取ってきて挿したような(想像ですけど),その気軽さは日本ならではだな,と.
Commented by souslarose at 2010-10-04 06:03
tnさんへ。
おはようございます、メッセージどうもありがとうございます。
何かを言葉で表すのはとても難しいですね。このブログの文章が長いのもそのせい(笑)何とか僕が思っていることを皆さんにお伝えしたいから……もっとも言葉の力がもっとあれば短く済むハズなんですけど……。匂いなんて漠然としたものを言葉で表す……永遠の課題ですね。まだ色の方がいいかもしれません。でも、赤だって人それぞれに見えている赤は違うハズ、難しいです。気に入って下さった写真はあれかな?プラスチックなどの人工的なものを使わず自然界にあるもので賄う、凄いセンスだと思いました。今年、僕が一番気に入ったお宅、来年も是非、寄せて戴きたいと思っています。

Benoit。
Commented by at 2010-10-05 23:19 x
Benoit。さん、こんばんは。

目下先祖がえりしているお婆が、また一段階ステップアップ(ダウン??)して、またもや「いや~な匂い」をさせないように、戦っております。
いい匂い、そんないろんな講釈はいらないんじゃないかと。
幸せな気分になれる…それこそがいい匂いの一番大事なことかなと思います。
500色の色鉛筆を持っていますが、これまたスンバらしい名前がついています。
さて、どれだけ共感できる想像力を持ち合わせているか?
そのために、見聞を広げたいものです。
Commented by メアリー at 2010-10-06 15:06 x
イングリッシュガーデンにて私と友人の会話。友人、ミルラってミイラの防腐剤の香りだってね。それを聞いたら苦手になったよ。私、ミイラは王侯貴族しかなれないのよ。高貴な香りなんだから素敵じゃない。友人、それでもイメージ悪いよ。今度黙ってアンブリッジローズを友人の鼻先に突きつけようと思います。食わず嫌いならぬ香り嫌い。治すのはイングリッシュローズ様です。
Commented by souslarose at 2010-10-08 06:05
碧さんへ。
おはようございます。いつもメッセージありがとう。
そうなのね、美しいもの、素晴しいものって一々言葉にする必要はありませんね。「言葉をなくす」ってそう言うことですもんね。500色の色鉛筆ですか……勿論、外国製ですよね?僕はスタビロの水性色鉛筆が好きで重宝していましたが、500色は凄い(笑)どんな名前が付いているんでしょうね?単語の組み合わせでしょう?日本の伝統色はその点、優雅な呼び方ばかりでいいですよね。使っていない色沢山あるでしょう?(笑)兎に角、碧さんも仰言るように、見聞を広めて行くことが大事かと……浅くてもいいから(研究者ではないので)色々と見て聞いて触って行きたいですね。

Benoit。
Commented by souslarose at 2010-10-08 06:10
メアリーさんへ。
おはようございます、メッセージどうもありがとうございます。
ようやく秋らしい好天が続くようになりました。元気にお過ごしですか?そう、イメージってありますよね。いいものでも連想するものが悪いとチョッと(笑)まぁ、世の中、綺麗なものばかりではありませんし、物事、表裏一体となっているのも事実。上手く使い分けて行かれればそれでいいんでしょうね。お友達の反応が楽しみですね!(笑)ミルラの匂いもそのもの単独じゃなくて、素晴らしい薔薇の姿と一緒だとさらに感激が大きくなるかもしれませんから。

Benoit。
Commented at 2010-10-08 09:48
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by souslarose at 2010-10-11 09:52
シングルマンさんへ。
おはようございます。メッセージどうもありがとうございます。
毎日〜忙しくしていますが元気にしています、お気遣いありがとう。昨日の未明の豪雨から一転、秋らしく清々しい天気になりましたね。「シングルマン」どうでしたか?僕も「大奥」じゃなくてそっちにしたかったんですけどねぇ……。六本木と新宿と立川でしょう?(笑)いいらしいですね、落ち着いたら是非、観に行きたいと思っています。秋の薔薇、そろそろ咲き始めました。今日は午後から光線を待って撮影しようと、既に「Bella Donna」うぃカットして水にさしてあります。これから段々気温が低くなります。シングルマンさんもご自愛くださいね。

Benoit。
Commented at 2010-10-13 10:35
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by souslarose at 2010-10-14 10:02
シングルマンさんへ。
おはようございます、メッセージありがとう。
僕は多分、来週かな……新宿だと思います。苦手なんですよ、六本木(笑)まだ新宿の方がいいや。60年代か……導なんでしょうね。勿論、デザイナーが監督ですから物凄く素敵なんでしょうけど。ジュリアン・ムーアなんかまさにピッタリですね。観に行ったら記事にすると思いますので楽しみにしていて下さいね。
「Bella Donna」ですけど、昨日も素晴らしい写真が撮れました。帰宅して夕暮れ時でしたけど、ゾクゾクッとする美しさ。矢張り、特権ですかね?(笑)

Benoit。
by souslarose | 2010-10-03 00:00 | Under the Rose | Comments(14)

Let's talk about roses。


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