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それぞれの物語、それぞれに美しい……Bella Donna。

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今年も早いものでもう7月……。
「第12回 国際バラとガーデニングショウ」が終わって一月以上経ちます。
好評の内に皆さんの元へ嫁いで行った僕の薔薇たち……。
色々な所で、ブログなどで記事になったりお写真を拝見したり、
その元気な姿に喜びもひとしおです。

今日はスッカリ遅くなってしまいましたけど、
(実はガーデニングショウの初日前に4品種全部の物語を書く予定でした……。)
「Benoit Magimel」「Remi Chang」に続いて、
「Bella Donna」のことについて書いてみたいと思います。



僕は常々、薔薇には育てる人それぞれの物語がある……そう言っています。
作出した僕には僕の、育てて下さる方にはそれぞれの物語が……。
現に、亡くなったお父さまの想い出として買って下さった方、
お母さまの誕生日のお祝いにと求めて下さった方、
結婚記念日に庭に植樹するためにわざわざ初日に買いに来て下さった方……。
きっとそれぞれにいい想い出となってスクスクと大きくなっていることと思います。
ブログでも素晴らしいお写真を沢山見る事が出来ました。
オールドローズをこよなく愛する歩夢ちゃんは「Bella Donna」の新しい一面を見せてくれました。
ガーデニングショウで優しく声を掛けて下さったつぐみさんは、
何と、僕もまだ撮っていない「Benoit Magimel」と「Bella Donna」のツーショットを見せて下さいました。
それから友人の aoi さんのブログでは「Balla Donna」を題材に素晴らしい詩を2編、
「ないしょの庭」「秘密の館」……素晴らしい文才を披露してくれています。
既に皆さんの所で新しい物語を紡いでいる僕の薔薇……凄く嬉しいです。
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 「お前、しっかりしなさいよ……。」

これは5年前の今日、7月5日に亡くなった僕の母の最期の言葉です。
肝機能が落ち、黄疸と浮腫みで意識が朦朧としている中、
看護婦さんに助けられながらベッドに横たわる時に言った言葉です。
病院勤務だった母は、心のどこかに入院したら最後と言う思いがあったようです。
頑なに入院を拒み、自宅で療養していましたが、
最後の最後にどうにも辛くなって自ら病院に電話し、
入院したその翌日にアッと言う間に亡くなってしまいました。
僕が最後に見た生きた母の姿。聞いた最後の声です……。

生死の境を彷徨いながらも不甲斐ない一人息子を心配する親心。
確かに僕はこの年になっても頼りないことこの上ありませんでしたからね。
まさか僕が病院を出たそのスグ後に息を引き取るとはつゆ知らず、
また明日にでもお見舞いにこようと思っていた矢先でした。
とんぼ返りで取って返した病室には誰にも看取られず冷たくなった母が一人……。
僕が自ら母の薬指から外した指輪は今、僕の小指に填められています。



薔薇に名前を付ける……僕にとっては非常に大事な儀式です。
そして、とても私的なことなんです。
これは僕に限らず、薔薇の名前を付けることはとても私的なことだと……そう思うのです。
今回のオリジナルの薔薇の発売が実現する前から、
未だ、何も形をなしていない大昔から薔薇の名前を考えて遊んでいました。
その殆どが小さい頃から好きだった俳優や小説の主人公だったりします。
憧れた女優や俳優に名前を僕の薔薇に貰えたらどんなに素敵だろうか……。

僕は物心ついた頃から映画が大好きでした。
小さな頃から映画館の暗闇に一人座り、
決して経験することのない世界を彷徨っていました。
銀幕のスターに恋をし、流麗な映画音楽のメロディーに身を委ねる……。
子供心にも驚いた破格なスケールを持ったイタリアの女優に恋をし、
北欧からやって来た偉大な女優に心ときめかせ、
今世紀最大の大女優と同じ今を生きる幸せを噛みしめ、
舞台と映画の両方で活躍した日本が世界の誇る偉大な女優の「芸」に心酔する……。
勉強が嫌いだった僕に学校では決して教えてくれない世界を教えてくれた映画。
そんな映画館のスクリーンを飾った全ての美しい人、
現実の世界で影響を受け憧れた美しい人、人、人……。
それら全ての美しい人々に捧げられた「Bella Donna」です。

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母は人込みが大嫌いでした。絶対に首を縦に振らなかっただろうけど、
もし元気だったら、是非、「国際バラとガーデニングショウ」の、
コマツさんのブースに並ぶ僕の薔薇を見て貰いたかったです。

「Bella Donna」……特に母に捧げた薔薇と言う訳ではありません。

この薔薇には何かこう、誰かを特定する名前は付けたくなかった……。
特に、何語であれ「母」と言う単語は入れたくなかったのです。
育てる人それぞれの物語……僕の薔薇で美しい物語を作って欲しいのです。
1枚目の写真を見た親友が言いました。

 「大女優みたい!」

それでいい、まさに僕が思い描く「Bella Donna」の姿なのです。


05. 07. 2010


Benoit。


※このスキン、アンダーバーもないし強調色にもなっていません。
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by souslarose | 2010-07-05 00:00 | Under the Rose

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