2010年 05月 18日
第12回 国際バラとガーデニングショウ。
「エミール・ディッケンズの本を探しているのですけど……。」
極度の栄養失調でフラフラになりながら、
恐る恐るソフィーは図書館で係の男に尋ねた。
男の威丈高で冷たい対応、侭ならない言葉にくらくらし、
ソフィーはその場に倒れてしまいます。
間髪置かず倒れたソフィーに駆け寄るのはネイサン……。
ネイサンのアパートで蠟燭の灯りに点されながら、
滋養のある料理と共に開けるのはシャトー・マルゴー。
「いい行いをした人だけが天国で飲むワインね。」
ソフィーの瞳には既にネイサンに対する恋心が芽生えています。
ポーランド生まれのソフィーは辛い収容所生活を経て、
命からがらニューヨークに辿り着き、極貧の生活に耐えながら、
それでも知への渇望から図書館に赴きネイサンと出会う訳です。
アラン・J・パクラ監督作品、映画「ソフィーの選択」のワン・シーンです。
結局、ソフィーが探していたのはエミリー・ディキンソンの詩集でした。
「女性だったのね!」
語学学校で感銘を受けて図書館に本を探しに行ったまではいいのですが、
ポーランド訛りで上手く意思が伝わらなかったのです。
笑いながらグラスを傾けるソフィーとネイサン。
彼等の行く先に待つ壮絶な最期……哀しみのソフィーとネイサン、2人を見守るスティンゴ。
今世紀最大の女優、メリル・ストリープを一夜にして大女優にした傑作です。
通称「ピンク・ハウス」……女主人の旦那が「安いから」と、買い集めた、
大量のピンクのペンキで塗られたアパート。
そこに新入りとしてやって来たスティンゴ(作者スタイロンの分身)の
目を通して語られる、ソフィーとネイサン。「ソフィーの選択」。
新入りスティンゴを歓待するシーンで、ネイサンはソフィーを薔薇に例えます。
ソフィーはここでも拙い言葉を披露し、
「ネイサンが薔薇に花開かせてくれた……。」と、言い間違えます。
ネイサンの愛を一身に受け薔薇のように美しく変身したソフィー……。
エミリー・ディキンソン……。
1830年生まれのアメリカ人の詩人。
隠遁生活を送っていたエミリーの詩は、生前、たった7編の詩が発表されるだけでした。
未だに謎が多く残るアメリカを代表する詩人を研究していた、
黒柳徹子さんと薔薇界の人気者、僕が「弟」と、可愛がる大野耕生さん、
そして、僕が「お兄さん」と、敬愛してやまない佐藤 進さんが作ったのが1枚目の写真です。
そこここに、今回の「国際バラとガーデニングショウ」のポスターでおなじみの
HISAKOさまが撮られた「トットちゃん」が植栽に使われていました。
今までのお気楽な、一入場者と違って、
今年は訳あってコマツガーデンのスタッフとして働く事になりました。
まともに写真を撮る時間はほぼゼロ!
でも、何枚か撮った中からお気に入りの写真を是非、ご覧になって下さい。
働いてみて思った事、感じた事などはまた日を改めて書いてみたいと思っています。
1枚目は、見た瞬間に冒頭の「ソフィーの選択」のワン・シーンを彷彿とさせた、
素晴らしい大野耕生さんと佐藤 進さんのコラボレーション。
ギリギリの命を生きたソフィー……そんなソフィーの目に映るディキンソンの庭。
少しフォーカスをかけて撮ってみました。
いつも大きな友情を貰っている小山内健さん。
「うそはち……」……じゃなくて(笑)「おさはち亭」の素晴らしいディスプレイから、
薔薇が「和」のテイストを持っている事を証明したカットを2枚。
毎回、豊潤なフランスを感じさせてくれるローラン・ボーニッシュさんのブースから2枚。
そして、見事なコンテスト参加者の皆さんの渾身の庭から数ショット。
今回のメイン・キャラクターのピーター・ラビット!(笑)
18. 05. 2010
Benoit。
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